・参加者型経営

 そもそも参加者型経営とは、意思決定プロセスに従業員を参加させようという考え方に由来するものである。このような考え方は昔からあったが、時代によって評価はまちまちであった。

 憂うべきは、参加者型経営の本質を正確に把握している人間がほとんどいないという真実である。人は誰しもが生まれつき経営者ではないように、経営者たちは常に自分のスキルを高めるために学ばなければならない。

 

 50年代の経営者たちは、参加型経営といえば、従業員と仲良くすることだと心得ていた。

 

 60年代には、参加者経営とは従業員のニーズやモチベーションを敏感に察知することだと考えられていた。

 

 70年代には、従業員に協力を求めることこそ参加者型経営の神髄であるとされた。

 

 80年代には、頻繁にグループミーティングを開くのが参加者型経営であると言われた。

 

 かくして、同じ参加者型経営を実践しならが、人によって180度異なる結果が生じることもある。ある経営者がミーティングを開いて従業員の気持ちを把握しようとし、それが成功したとしよう。しかし別の経営者が同じことを試みても、同様にはいかないのである。

 「参加者型経営」という表現自体、経営者側が何かをする、という印象を与えがちである。つまり裏を返せば、従業員が参加しようとする意志や可能性を制限しているがごときニュアンスがあるのかもしれない。実際、「従業者参加制」という表現が「参加型経営」と平行して使われており、両社は表裏一体のものと言っていいのかもしれない。

 

 最後に私自身が思ったことを少し書いてみようと思う。

 参加者型経営をとり違えば、組織に混乱が生じるのは必然的である。しかし、組織が千、万とあるように、誰もがその真意を説明できないのかもしれない。だとしたら、どうすればいいのか。その答えは、全員が組織を向上させたいという気持ちが鍵となっていると私は考えている。

 

参考文献:ZAPP 著者:WILLIAM C.BYHAM